社内にWeb担当者がいない会社の進め方
ホームページはある。けれど、社内にWeb担当者がいないため、誰が何を見て、何を直し、どこまで判断するのかが曖昧なままになっている。中小企業では、この状態は珍しくありません。むしろ、営業や総務、経営者自身が兼任しながら、気づいた時だけ更新している会社のほうが多いくらいです。
多くの会社では、専任のWeb担当者がいなくても、社内窓口を1人決め、必要な実務を外部に任せ、経営者・責任者が定期的に判断する体制があれば運用できます。
ただし、更新量や事業の方針によって最適な分担は異なります。すべてを外注する必要はなく、社内で対応できる範囲に合わせて体制を設計することが大切です。
問題は、担当者がいないことそのものではありません。担当者がいない前提で、守る、整う、育つの順番が設計されていないことです。ここが曖昧だと、ホームページは公開後に止まりやすく、会社の信用を育てるWeb資産になりにくくなります。
専任Web担当者がいない会社の最小運用体制
専任担当者を置けない場合でも、最低限、次の役割が決まっていれば運用は始められます。人数を増やすことより、誰が何を担当し、どこで判断するかを明確にすることが先です。
| 役割 | 担当 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 社内窓口 | 社内の1人 | 進行管理・社内承認・外部との窓口 |
| 日常実務 | 社内または外部 | お知らせ更新、文章・画像の差し替え、問い合わせ確認など |
| 専門作業 | 必要に応じて外部 | 保守、セキュリティ、計測設定、デザイン・システム改修など |
| 方針判断 | 経営者・責任者 | 目的、優先順位、予算、実施可否を判断 |
| 確認頻度 | 経営者・責任者と社内窓口 | 月1回程度を目安に、状況と次の対応を確認 |
社内にWeb担当者がいないと、何が止まりやすいのか
最初に起きやすいのは、更新の停滞です。お知らせが数年前で止まっていたり、採用情報が古いままだったり、担当者名やサービス内容が現状と合わなくなったりします。見た目は小さなことでも、見る側には「この会社は今も動いているか」が伝わります。
次に起きやすいのは、保守の抜け漏れです。WordPress本体やプラグインの更新、バックアップ、フォーム動作の確認、スパム対策、表示崩れのチェックは、誰かが定期的に見ていないと後回しになります。トラブルは毎月起きるわけではありませんが、何も起きていない時ほど放置されやすい領域です。
もうひとつ見落とされやすいのが、分析と改善の不在です。アクセス解析を入れていても、数字を見る人がいなければ、見込み客がどのページで離脱しているか、検索から何が読まれているか、問い合わせ導線が機能しているかは分かりません。レポートが届いても、次に何をすべきかが決まらないまま終わるケースも多いです。
担当者不在の問題は、人手不足だけではない
社内にWeb担当者がいない会社でよくあるのは、「詳しい人がいないから動けない」という理解です。もちろんそれも一因ですが、実務ではもう少し構造的です。
まず、ホームページの役割が社内で共有されていないことがあります。採用のためのサイトなのか、営業支援なのか、既存顧客の安心材料なのか、サービス説明の土台なのか。この位置づけが曖昧だと、何を優先して更新するべきか決まりません。
次に、判断基準がないことです。どの数字を見ればよいのか、どの不具合は急ぎなのか、どの改修は売上や信用に関係するのか。ここが整理されていないと、毎回その場の感覚で対応することになります。結果として、手間はかかるのに積み上がりません。
さらに、制作と運用が分断されているケースもあります。サイトを作った会社はいるけれど、公開後の保守や改善までは見てもらえない。あるいは、保守はしているが分析や導線設計までは対象外。この分断があると、会社の中にWeb担当者がいないほど、空白が生まれやすくなります。
よくある誤解 – 更新できれば十分ではない
社内にWeb担当者がいない場合、「とりあえず自分たちで更新できるようにしておけば大丈夫」と考えられがちです。これは半分正しく、半分足りません。
確かに、自社で文章や写真を差し替えられることは大切です。ただ、それだけでホームページ運用が回るわけではありません。更新できることと、何を更新すべきか判断できることは別だからです。
また、「アクセスが少ないから今は手をかけなくていい」と考える会社もあります。しかし、アクセスが少ない時ほど、会社案内、サービス説明、問い合わせ導線、フォームの安心感など、基本部分の整備が重要です。広告や営業活動で人を呼び込んでも、受け皿が整っていなければ成果は安定しません。
逆に、「まずSEOを強化すればよい」という考え方も、状況によっては遠回りです。検索流入を増やす前に、サイトの土台、導線、保守、計測環境が整っていないと、増えた訪問が蓄積につながりにくいからです。見込み客の入口だけ増やしても、出口が弱ければもったいない状態が続きます。
社内にWeb担当者がいない会社が最初の30日で確認すること
最初の30日は、施策を増やすよりも、現在地と管理状況を把握する期間にします。次の6項目を確認すると、社内で行うことと外部へ任せることを判断しやすくなります。
ホームページが営業、採用、認知、問い合わせなど複数の目的を持つこと自体は問題ありません。ただし、現時点で何を優先するかを決めないと、見るべき数字も、先に直すページも定まりません。たとえば採用を優先するなら応募導線、営業を優先するならサービスページや問い合わせへの動きを見るなど、目的の優先順位が改善判断の基準になります。
- ホームページの目的:新規顧客、既存顧客、採用など、誰に何を伝え、どの行動につなげたいかを整理します。
- 更新が止まっている箇所:お知らせ、サービス内容、料金、担当者情報、採用情報など、現状と合っていないページを洗い出します。
- 問い合わせ状況:件数、流入元、返信体制、フォームの動作を確認します。入力項目や使いやすさは、問い合わせフォームの作り方と見直しポイントも参考になります。
- GA4・Search Consoleなどの計測状況:計測できているか、誰が権限を持っているか、見るべき数字が決まっているかを確認します。数字の整理に迷う場合は、GA4を見ても分からない時の整理方法を確認してください。
- WordPress・ドメイン・サーバー・メールの管理者:契約名義、ログイン情報、更新期限、緊急時の連絡先を整理します。管理の引き継ぎが必要な場合は、WordPress保守の引き継ぎ方法が参考になります。
- 制作会社・保守会社との契約範囲:更新、保守、バックアップ、障害対応、分析、改善提案のどこまでが含まれるかを確認します。役割の違いは、制作会社と保守会社の比較・選び方でも整理しています。
特に、WordPress、ドメイン、サーバーなどの管理権限と、制作会社・保守会社との契約範囲は先に整理しておく必要があります。誰がログインでき、どこまで依頼できるかが分からないと、更新や改善の方針を決めても、必要なデータに触れない、見積もりを頼む相手が分からないといった理由で作業そのものが止まるためです。
確認した内容は、ホームページを止めないための「保守」、現状に合わせて情報を変える「更新」、アクセスや問い合わせの状況を知る「分析」、得られた情報を成果につなげる「改善」の4つに分けると整理しやすくなります。それぞれ作業頻度や必要な専門性が異なるため、全部を同じ会社や同じ担当者が担う必要はありません。社内で持つ判断と情報、外部に任せる実務や専門作業を分けて考える材料になります。
最初からすべてを直す必要はありません。空白になっている役割を見つけ、担当者と優先順位を決めるところまで進めれば、次の30日で実務に移りやすくなります。
自社で持つべきことと、外部に任せたほうがよいこと
社内に担当者がいなくても、自社で持ったほうがよいものはあります。たとえば、事業の優先順位、サービス内容の整理、事例や写真の提供、営業現場でよく聞かれる質問の共有です。これは外部パートナーが代わりに決めるものではなく、会社の中にある情報です。
一方で、定期保守、バックアップ確認、セキュリティ対応、計測設定、月次レポート、改善提案、導線の見直しは、外部に任せたほうが安定することが多いです。理由は単純で、頻度と専門性が必要だからです。毎日専任で触らない会社ほど、仕組みとして外に置いたほうが続きます。
ここで大切なのは、丸投げと伴走を分けて考えることです。全部お任せにすると、自社に判断材料が残らず、また依存が深くなります。逆に、細かい指示を毎回自社で出そうとすると、担当者不在の問題は解消されません。必要なのは、会社の意図をくみ取りつつ、実務を前に進められる外部のWeb・販促パートナーです。
4つの運用方法を比較する
最適な方式は、更新頻度、社内で確保できる時間、予算、どこまで社内に知見を残したいかによって異なります。外注が常に正解ではなく、更新が少なければ社内兼任、継続的にWeb施策を進めるなら採用が合理的なこともあります。
| 運用方法 | 向いている会社 | メリット | 注意点 | 社内で必要な役割 |
|---|---|---|---|---|
| 社内で兼任 | 更新頻度が低く、社内に作業時間を確保できる人がいる会社 | 社内に知見が残り、事業情報をすぐ反映しやすい | 繁忙期に止まりやすく、専門作業まで抱えると負担が大きい | 責任者と、進行・更新を担う兼任者 |
| 社内窓口+外部伴走 | 方針と承認は社内に残し、実務や専門判断を補いたい会社 | 社内負担を抑えながら、継続的に改善しやすい | 費用と定期的な情報共有が必要。役割分担が曖昧だと空白が生まれる | 社内窓口、承認者、優先順位を決める責任者 |
| 全面外注 | 社内の作業時間が限られ、定型運用をまとめて任せたい会社 | 実務負担を減らし、担当者の退職や異動にも左右されにくい | 社内に知見が残りにくく、情報提供と最終判断まで外部任せにはできない | 窓口、素材・事業情報の提供、最終承認 |
| Web担当者を採用 | 更新・集客・改善を継続的に行う規模と予算がある会社 | 実行が速く、社内に知見を蓄積しやすい | 採用・人件費が必要で、1人ですべての専門領域を担えるとは限らない | 目標と権限を決める経営者・責任者、社内各部門の協力 |
外部支援を選ぶ時の見方
料金だけで比較すると、選定は難しくなります。見るべきは、何を守ってくれるのか、何を整えてくれるのか、その先の改善まで見ているかです。
たとえば、保守だけの会社は障害対応には強くても、Web分析レポートや導線改善までは対象外かもしれません。制作会社はデザインや新規構築に強くても、公開後の月次運用が細い場合があります。SEO会社は集客提案に強くても、WordPress保守やフォーム改善は範囲外のことがあります。どれが良い悪いではなく、自社の空白に合っているかが大切です。
社内にWeb担当者がいない会社ほど、窓口が分かれすぎると管理負荷が上がります。保守、分析、改善、制作が完全に分断されていると、相談のたびに前提説明が必要になり、判断も遅れがちです。だからこそ、ホームページを作って終わりではなく、長期目線でWeb資産として育てる考え方が合う会社があります。
+STOCKでも、まずは守ることから始め、次に状況を整え、そこから小さな改善を積み重ねる考え方を大切にしています。派手な施策より、会社の信用を落とさないこと、相談導線を整えること、見込み客と既存顧客の両方にとって分かりやすい状態を保つことのほうが、長く効いてきます。
すぐに大きく変えなくてもよい
担当者がいない状態でホームページを立て直す時、最初から全面リニューアルが必要とは限りません。むしろ、よくあるのは、権限整理、保守体制の確認、フォーム見直し、主要ページの情報更新、計測環境の整備といった小さな改善から始めたほうが進みやすいケースです。
大きく作り直す判断が必要なのは、事業内容が大きく変わっている、更新しづらい構造になっている、古い仕組みで保守リスクが高い、といった場合です。逆に、土台がまだ使えるなら、少しずつ整えたほうが費用対効果が合うこともあります。ここは会社ごとに違います。
社内に専任がいないことは、弱みと決めつけなくて大丈夫です。大切なのは、無理に内製化することではなく、誰が見ても回る形にすることです。ホームページは、詳しい一人に依存するより、会社の信用を支える仕組みとして持っているほうが長続きします。
体制整理が難しい場合は、最初からすべてを決めなくても構いません。まずは「WordPress・ドメイン・サーバーなどの管理権限を誰が持っているか」と「このホームページは誰に何をしてもらうためのものか」の2点だけを確認してください。この二つが分かれば、動かせる範囲と優先する目的が見え、次に社内で決めることと外部へ相談することを切り分けやすくなります。
自社に合う支援方法を確認する
自社の場合、何を社内で行い、何を外部へ任せればよいか分からない時は、1分サービス診断をご利用ください。簡単な質問に答えるだけで、現在の体制や課題に合う支援の方向性を確認できます。
すでに制作会社や保守会社がいるものの、提案や見積もり、運用方針を第三者に確認したい場合は、Webセカンドオピニオンも選択肢です。





















