突然のSNS担当に!知っておきたい運用の基本とコツ

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もし、あなたが突然、会社のSNS担当に任命されたらどうしますか?

「明日からSNS担当ね、よろしく!」

企業のSNSマーケティングの重要性が高まる中で、思いがけず上司から担当に任命されて「どうしよう…」と困っている人の声を、最近よく聞きます。

「今までSNSは個人利用しかしていないのに…」
「企業アカウントの運用って、何から始めればいいの?」
「SNSも色々あるけど、全部やらなきゃダメなのかな…」

きっと、突然SNS担当になった方の多くが、同じような不安を抱えているのではないでしょうか。

しかし、焦りすぎて片っ端からアカウントを作成し、闇雲に投稿するようなことは避けたほうがよいでしょう。

SNSは企業にとって無料で使える強力なツールですが、目的や方法を明確にしないまま、作業だけを増やしても疲れるばかりでなかなか効果につながりにくいものです。

なので、何から手をつければよいか戸惑っているときは、ゆっくり深呼吸をして、頭の整理をしてみることも突破口を開くヒントになるかもしれません。

この記事では、初心者の方が突然、会社のSNS担当を任されたときに、まず何を考えて、次にどこへ向かえばいいのか、迷わず第一歩を進めるためのヒントをお伝えします。

まず、SNSの目的を考える

最初に考えるべきことは「SNSの目的」です。やみくもに投稿したり、いきなりフォロワーを増やそうとするのではなく、将来のお客さまになる可能性が高い人を集めるために、どのようにSNSを活用したらいいのかをしっかり考えましょう。

見込み客の獲得が目的

将来のお客さまになる可能性が高い人のことを「見込み客」といいます。多くの企業では、SNSを通して「見込み客」を集め、最終的には売上に結びつけたいと考えています。

ここで重要なのは、フォロワー数が必ずしも見込み客数に直結しないという点です。フォロワーがたくさんいても、彼らが自社のサービスや製品に興味を持ってくれなければ、将来の売上にはつながらないのです。

フォロワーと見込み客は同じ?

つまり、「フォロワーが多い = 見込み客が多い」というわけではありません。例えば、Googleを利用する人は「問題解決のヒントを探す」ために検索しますが、SNSを利用する人は「スキマ時間の情報収集」や「興味本位での閲覧」が主な目的です。このように、SNS利用者の目的意識は検索ユーザーと比べると曖昧で、必ずしも購買につながるわけではないことを知っておいてください。

SNSでは、単にフォロワーを増やすことよりも、「本当に興味を持ってくれそうな人」との接点を増やすことに注力するほうが効果的です。

SNSで注目すべき指標は?

SNSの強みは、実名登録されたアカウントによってターゲティングの精度が高い点です。この利点を最大限に活かすためには、まず「ペルソナ」を仮説し、その心理や行動パターンに合わせた投稿を企画、反応を見ながら検証を重ねていきます。

成果を測るためには、数値で見える指標を追跡します。そして、客観的なデータに基づいて改善を図ります。主な指標には、以下のようなものがあります:

  • インプレッション(投稿が表示された回数)
  • リーチ数(投稿を見たユニークユーザー数)
  • フォロワー数(フォローしてくれている人の数)
  • エンゲージメント率(いいね、コメント、シェアなど、反応の度合い)
  • コンバージョン数(目的のアクションを達成したユーザーの数)

とくに「見込み客の獲得」を目的とする場合、これらの数値だけでは成果が見えにく場合があります。

見込み客の獲得は、SNSだけで行うよりも、ホームページやランディングページ、ブログなど、ウェブサイトと連携した流れの中で行う場合が多いからです。

この場合、SNSで最も重要な指標は「リンクのクリック数」です。具体的には、投稿やストーリー、プロフィールに設置したリンクがクリックされ、ウェブサイトやランディングページへの訪問に繋がった数を示します。これを「送客数(トラフィック)」と呼びます。

重要な指標の具体例

  • 送客数: 投稿やプロフィールリンクをクリックして、サイトに訪問したユーザー数
  • 商談決定率(BtoCでは来店率): SNSからの送客数のうち、商談や来店に繋がった割合
  • 商談数(BtoCでは来店数): SNSから誘導された商談や来店の件数
  • 成約数(BtoCでは購入数): 実際に成約や購入に至った件数

例えば、SNSを通じて月間10件の送客があり、そのうち3件が商談や来店に繋がり(商談率/来店率30%)、最終的に1〜2件が成約(成約率/購入率10〜20%)に至れば、SNSが見込み客の獲得に一定の効果をもたらしていると言えるでしょう。

ブランディングを意識しよう

ところで、ホームページやビジネス用ブログは、コンテンツが蓄積されるほどSEO(検索エンジン最適化)には有利になります。しっかりした情報が詰まったきちんとしたデザインのサイトは、ブランドの信用や信頼を高めます。このように、ホームページは長期的に効果が持続し、資産価値が高いメディアです。

一方、SNSの投稿はタイムライン上で流れていくため、一度投稿しても時間とともに見られる機会が減っていきます。過去の投稿を遡って見る人もそれほど多くはないでしょう。そのため、SNSは瞬発的な拡散力はあるものの、投稿の持続性や資産性は比較的低くなります。常に新しい投稿をし続けないと注目を集めることも難しい。かといって、頻繁に投稿をしていてもフォロワーにうっとおしいと思われてしまうこともあるようです。

そこで、最近では「ストーリーズ」という一時的な投稿形式が主流になってきています。タイムラインの投稿は単に数を増やすのではなく、ユーザーに価値を提供する意図を持った質の高い投稿にすることで、よりブランディングを意識した資産性のある運用が可能になります。その代わりに、ストーリーズで露出頻度を高めるわけです。

SNSの競争が激化した現在、以前より費用対効果も求められるようになりました。その結果、SNSの運用も長期的かつ資産価値の高まる運用を目指すように変化しているのです。

この変化により、SNS運用においては単なる投稿作業だけでなく、事前の戦略設計やブランディングを意識した投稿の重要性が増しているのです。

ストーリーズとタイムライン

最近のSNS運用では、「ストーリーズ」と「タイムライン」の使い分けがより明確になり、それぞれの特徴を活かした運用が求められています。以下は、一般的な使い分けの方法です。

※ストーリーズは、全てのSNSに搭載されている機能ではなく、各SNSによって違いがあることにご注意ください。

1. ストーリーズの特徴と運用方法

ストーリーズは、24時間で消えるため、リアルタイムで一時的な情報や軽い内容の投稿に向いています。また、親しみやすくカジュアルな投稿スタイルが支持されており、インタラクティブな機能も豊富なので、ユーザーとの関係を深める場として活用される傾向にあります。

主な使い方

  • リアルタイムの更新: イベントの様子や、オフィス・制作現場の裏側など、今の様子をリアルタイムでシェア。
  • 一時的なキャンペーン告知: 24時間だけの限定セールやプロモーションをアピール。
  • インタラクティブなコミュニケーション: 質問ボックスやアンケート機能を活用して、フォロワーの意見収集やフィードバックを得る。
  • カジュアルな投稿: 短い動画や写真で、商品やサービスの使い方、スタッフの紹介など、よりカジュアルで親近感を感じさせる内容を投稿。
  • リンクを活用(フォロワー数が規定以上のアカウントの場合): サイトやブログ、購入ページに直接リンクを設置し、トラフィックを誘導。

2. タイムラインの特徴と運用方法

タイムラインは、通常の投稿としてアカウントの「顔」となる場所であり、継続的に残るコンテンツとしての役割が強くなっています。そのため、より高品質で洗練された投稿が好まれ、ブランドの世界観や価値観を表現する場として使われています。

主な使い方

  • ブランドイメージの構築: 美しい画像やデザインを使い、ブランドのビジュアルイメージを統一。
  • 商品の詳細紹介: 新商品の特徴や詳細情報を、画像や文章でしっかり伝える。
  • 長期的に価値のある情報の発信: ブランドのストーリーや企業のビジョン、顧客の事例など、繰り返し見てもらいたい内容を投稿。
  • SNS検索対策としての活用: テキストやハッシュタグを活用し、SNS内の検索にでやすくすることで新規フォロワーの獲得につなげる。

3. ストーリーズとタイムラインの組み合わせ

両者を効果的に使い分けるには、投稿内容に応じて計画的に組み合わせることが重要です。例えば:

  • タイムラインで商品の詳細を紹介した後、ストーリーズで使い方を紹介することで、商品への理解を深め、購入を促す。
  • タイムラインにブランドのストーリーを投稿し、ストーリーズでイベントの舞台裏や進行状況を共有することで、フォロワーとの親密な関係を築く。
  • 新規投稿の通知をストーリーズで告知し、より多くのユーザーにフィード投稿の内容を見てもらう。

このように、タイムラインをブランドの全体像や定番の情報を発信する場として使い、ストーリーズを一時的・動的な更新やフォロワーとのインタラクションを活かす場として活用することが主流となっています。

4. Instagramの運用が参考になるお店3選

「D2C」というビジネスモデルをご存じですか?D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、「メーカーが直接、消費者に販売する」ビジネスモデルのことを指します。

このモデルは、SNSとの相性が非常に良く、リアル店舗への集客だけでなく、オンラインショップを通じて全国に販売する企業が増えています。

とくにInstagramは、若年層への認知拡大に効果的で、Instagramから自社オンラインショップへと誘導する方法が多くの企業で活用されています。

参考になるお店3選

主な投稿内容

  • 商品の紹介
  • 販売のお知らせ
  • イベントの告知
  • 営業日の案内
  • 雑誌掲載の情報
  • スタッフの募集
    など

このように、SNSからオンラインショップへ送客し新規顧客を獲得、さらにリピーターへと育てていくという全体の流れの中で、ホームページやブログ、ニュースレター、Eメールキャンペーン、イベントなどの年間を通した企画も大切になってきます。とくに新しいお客さまへのフォローは事前に考えておきましょう。

SNS運用って何をする?

では、SNS担当になった場合に、何から始めれば良いのでしょうか?今や、SNSはただ投稿していれば自然とお客さまが増える時代ではなくなりました。多くの企業がSNSを活用する競争の激しい今、SNS運用には戦略と工夫が欠かせません。

もし、突然SNS担当になってしまったら、まずは大きく2つの仕事に分解して考えましょう。

頭を使う仕事

  • 企業のSNSの目的は「見込み客の獲得」
  • ターゲットが喜ぶ企画(価値提供)を考える
  • ブランディングを構築する
  • 露出はストーリーズで

「〇〇といえばこの会社」と思ってもらえるような投稿を通じて企業イメージを確立します。「〇〇といえば?」これで一番に思い浮かべてもらえるように、価値提供を意識した投稿を企画します。見た目の統一感もブランディングには大切です。露出はストーリーズでタイムリーに行います。

これらの「頭を使う仕事」では、戦略的に企画を練り、ブランドの印象を確立するための工夫を行います。単なる情報発信ではなく、フォロワーにとって価値ある内容を意識することがポイントです。また見込み客獲得の前後を含むマーケティング全体のスケジュールを考えておくとよりスムーズに効果的な運用ができます。

手を使う仕事

  • 投稿活動
    • クリエイティブ制作
    • 動画編集
    • 記事の執筆
  • 交流活動
    • コメント(返信含め)
    • 質問募集
    • DM(ダイレクトメッセージ)

考えたことを具体的なアクションに移すための作業です。ここでの作業は、具体的な投稿の作成(クリエイティブな画像や動画の作成、投稿文の執筆など)やユーザーとの交流活動が中心となります。交流活動では、フォロワーからのコメントへの返信や質問への対応、DM(ダイレクトメッセージ)のやり取りなど、フォロワーとの関係構築(つながり)を強化します。フォロワーから大切な友人に関係が進展するようなイメージです。

「手を使う仕事」は、実際に考えたアイデアを形にしていく具体的な作業です。フォロワーとの交流を通して信頼関係を深め、ブランドのファンを育成していくことが重要です。

仕事を分解することが大事

「頭を使う仕事」と「手を使う仕事」を分けて考えることで、効果的なSNS運用を行うことができます。社内のスタッフではどこまで対応できるか?時間的な余裕はあるか?作業する余裕や時間がないとすれば、どの部分を外注するか?絶対に社内でやらなければならないことは何か?「頭を使う仕事」と「手を使う仕事」を分けて、さらに細かな作業を分解していくことで、やるべきことと任せるべきことが明確になります。

このように作業を分解することで、社内スタッフへの指示も的確になり、外部への依頼もスムーズに行えるようになります。依頼内容が明確になるため、外注先の選定やコスト削減にもつながり、より効率的なSNS運用が実現できるのです。

使うSNSの決め方

SNSと一口に言っても、その種類はさまざまです。

  • Facebook
  • Instagram
  • X
  • LinkedIn
  • Pinterest
  • TikTok
  • YouTube
  • note
  • Google Business Profile
  • その他

各SNSにはそれぞれ異なる特性があり、集まるユーザー層も異なります。自社のターゲット層や運用のしやすさを考慮し、最適なSNSを選びます。

「できるだけ多くのSNSを使って広く告知したい」と考えるかもしれませんが、リソースには限りがあります。人材、時間、予算などの制約を考慮し、ターゲットに合わせて優先順位をつけてSNSを選定しましょう。

SNSの「市場性」で選ぶ

まずは、自社のターゲット層が多く利用しているSNSを選ぶことが効果的です。例えば、若年層へのリーチに優れたInstagram、中年層にもアプローチしやすいFacebookなど、ターゲットに合わせたプラットフォームを選ぶことで、より効率的に集客が可能です。このように、SNSの「市場性」を重視して選定する方法があります。

「継続できるかどうか」で選ぶ

一方で、SNS運用では継続性も重要です。どんなに市場性があっても、継続できなければ効果は持続しません。たとえば、YouTubeやTikTokを最初はがんばって始めても、制作に手間やコストがかかりすぎて継続が難しくなるケースはよくあります。

市場性も大切ですが、まずは自社のリソースに合い、無理なく継続できるプラットフォームを選ぶことが優先です。SNS運用は長期的な視点で取り組み、瞬間的なバズよりも、見込み客との接点をコツコツと増やして信頼関係を築くことを目指しましょう。

80対20の法則を使う

80対20の法則をご存知ですか?

これは、全体の成果の80%が原因の20%から生まれるという経験則で、もともと経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した法則です。多くの分野に応用されており、ビジネスにもさまざまな形で活用されています。

ビジネスでの応用例

  • 売上の80%は顧客の20%が生み出す
    特定の少数の顧客が多くの売上を支えていることが多いため、この20%の顧客に注力することで、効率よく収益を増加させることができます。
  • 売上の80%は商品の20%から生まれる
    主力商品の20%に注力し、販促や改善を行うことで、売上をより効果的に向上させる戦略です。
  • 作業時間の80%は20%のタスクに費やされる
    最も重要なタスクに集中することで、時間管理をより効率的に行えます。

SNSマーケティングでの応用

SNSマーケティングにおいても、80対20の法則を活用できます。たとえば、「SNSの成果の80%は、20%の投稿から生まれる」といったケースがよくあります。このように、とくに影響力のあるSNSやコンテンツ、投稿に注力することで、効率的にエンゲージメントや集客効果を高めることができます。

この法則は、リソースをどの要素に集中させるかを見極める指針として役立ち、SNS運用の効率向上にもつながります。

SNS運用における「メイン80%:サブ20%」の役割分担

SNS運用では、「メイン80%」と「サブ20%」の役割を明確に分けることが効果的です。

  • メインのSNSに集中する(80%)
    メインとなるSNSプラットフォームに力を入れ、見込み客との接点を効率的に増やします。たとえば、YouTubeのように蓄積型で効果が長期的に続くSNSをメインとし、コンテンツの一貫性を保ちながらしっかりとファンベースを築くことが可能です。
  • 周辺のSNSをサポート的に活用する(20%)
    メインのSNSを支援する形で、他のSNSも活用します。たとえば、noteでより詳しい記事を投稿したり、拡散力のあるX(旧Twitter)でリアルタイムの交流を行ったりして、複数の接点を作り出します。これにより、メインのコンテンツの補足や広報的な役割を果たし、メインのSNSを効果的に支えることができます。

運用例

    • YouTube(80%): 視聴者層を広く取り込むメインのプラットフォーム
    • note(15%): 深い内容を提供し、信頼感や専門性を補完
    • X(5%): DMやリアルタイムの交流でフォロワーと直接つながる場

まとめ

SNS運用は、ただ投稿を続けるだけではなく、戦略的に取り組むことでその効果を最大限に引き出すことができます。自社で無理なく継続できるSNS選びと運用が一番大切です。

その上で、企業としての目的を明確にし、ターゲットの市場性に合わせたSNSプラットフォームを選び、「頭を使う仕事」と「手を使う仕事」をバランスよく行うことも重要です。

さらに、80対20の法則を活用して、効果の高い投稿やプラットフォームにリソースを集中させることで、効率的な運用が可能になります。

SNSは瞬発力が高く、見込み客との直接的な接点を持つのに非常に効果的なツールです。一方で、成果を持続的に出すには長期的な視点が欠かせません。日々の投稿やコミュニケーションを通じて、信頼関係を築きながら、企業のブランドを少しずつ積み上げていく運営を心がけましょう。

今回紹介したポイントが、あなたのヒントになると幸いです。

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