ホームページのお問い合わせが増えない?見落としがちな最大の間違いとは

文字数:5,518 / 読了時間:15分

そもそもなぜ、お問い合わせを増やす必要があるのでしょうか?

それは、ビジネスの持続的な成長において、既存顧客の存在は不可欠で、その既存顧客はすべて新規顧客から生まれたものだからです。

とくにビジネスの初期段階では、顧客基盤がゼロからのスタートとなるため、新規顧客の獲得は最優先課題となります。そして、たとえ事業が軌道に乗った後でも、既存顧客は必ず減少していきます。なぜなら、どの業界にも競合他社が存在し、顧客の流出は避けられないからです。

このような事業環境において、企業には二つの重要な施策が求められます。一つは既存顧客の離脱を最小限に抑える「守りの施策」、もう一つは顧客減少分を補いつつ更なる成長を実現する「攻めの施策」です。つまり、ビジネスの安定と成長のためには、既存顧客の母数を最大化する新規顧客獲得が最重要課題となるのです。

新規顧客を獲得する方法は、大きく「アウトバウンド型」と「インバウンド型」の2種類に分類されます。

アウトバウンド型の代表的な手法には、飛び込み営業やテレアポがあります。最近では、SNSのダイレクトメッセージやウェブサイトのお問い合わせフォームを通じた一方的な営業アプローチも含まれます。しかし、昨今の迷惑営業対策の強化により、こうした一方的なセールスアプローチは歓迎されず、成約率も極めて低いのが現状です。

一方、インバウンド型は、質の高いブログ記事や小冊子などのコンテンツを提供することで、商品や会社に興味を持った見込み客からの自発的なお問い合わせを促す手法です。顧客自身の意思による問い合わせであるため、成約率は比較的高くなります。

このように、お問い合わせの獲得は、将来の既存顧客となる優良な新規顧客を安定的に増やすための重要な施策です。効果的な営業活動を実現するためにも、質の高いお問い合わせリストの構築は不可欠なのです。

とはいえ、ただホームページを持っているだけでは、思うようにお問い合わせが増えないことも多いでしょう。

そこで本記事では、購買につながるお問い合わせを増やすための実践的な方法をご紹介します。単なるアクセス数の増加ではなく、「欲しい!」と感じてお問い合わせいただける具体的な手法や、多くの人が見落としがちな「最大の間違い」に焦点を当てて解説します。では、さっそく始めましょう。

お問い合わせを増やす目的はメールリストの構築

新規顧客獲得において、お問い合わせを増やす目的は、新しいお客さまとの出会いとそのお客さまとの信頼関係を築くための橋渡し役となるメールアドレスやLINEといった直接的な連絡手段を確保することです。

とくに注目したいのが、仕事で使用する公式のメールアドレスです。LINEやインスタグラムなどのSNSが日常的なコミュニケーションツールとなった今でも、ビジネスメールの価値は変わっていません。それはなぜでしょうか?

SNSでは気軽にブロックやつながりの解除ができますが、仕事用のメールアドレスはそう簡単にはいきません。なので、お客さまが公式のメールアドレスを教えてくださるということは、その企業やサービスに対して一定の信頼を寄せている証だからこそなのです。

つまり、メールアドレスの獲得は、信頼関係構築の第一歩と言えるのです。

メールリストが増える仕組みがあると売上は安定する

では、なぜメールリストの構築が売上の安定につながるのでしょうか?

ポイントは、お客さまが自ら進んで登録してくださったメールリストの質にあります。市販の企業リストとは違い、自発的なお問い合わせから得られたメールアドレスには、すでにお客さまの関心や信頼が込められています。このような質の高いメールリストを継続的に増やせる仕組みがあれば、将来の売上につながる可能性も自然と高まっていくのです。

ここで注意したいのは、単純な数の追求は意味がないということです。大切なのは、お客さまとの良好な関係構築につながる「質の高いお問い合わせ」を集める仕組みづくりなのです。

お問い合わせの質はオファーで決まる

では、このような質の高いお問い合わせを増やすにはどうすればよいのでしょうか?

その答えは、「先手の価値提供」にあります。質の高いお問い合わせを手に入れるためには、質の高いコンテンツを先に与える姿勢が大切です。私たちは、この質の高いコンテンツのことを「お客さまが喜ぶ企画」と定義しています。

お客さまが喜ぶ「情報」では不十分です。私たちが目指すべきは、お客さまが抱える問題や課題の解決に役立つアイデアや、新しい視点が含まれる価値あるコンテンツです。

「企画=情報+付加価値」と考えるとわかりやすいでしょう。そして、このような価値ある企画(オファー)こそが、質の高いお問い合わせを引き寄せる磁石となるのです。

ではさらに、具体的にどうやって良いオファーを作ればよいのでしょうか?それは、まずお客さまのことを深く理解することから始まります。

  • お客さまとは具体的に誰か?
  • 現状にどんな不満や課題を抱えているのか?
  • なぜそういった課題が生まれているのか?
  • 理想的な状態とは何か?
  • その理想を実現するためにどんな方法があるか?

これらの問いに向き合い、現状と理想の「ギャップ」を埋めるための具体的な「ステップ」を設計します。そして最も重要なのは、お客さまが気軽に始められる「最初の一歩」を提案することです。

このように、お客さまの立場に立って戦略的に企画(オファー)を作り込むことで、質の高いお問い合わせを引き寄せる磁石となります。

メールリスト構築のよくある間違い

見込み客リストを構築するときに、多くの企業が最初に取り組むのは、会社案内や商品資料の請求フォーム、あるいは一般的なお問い合わせフォームの設置です。確かに、これらのフォームは必要不可欠な要素ではありますが、ここで立ち止まって考えてみましょう。

本当にこれで、戦略的なオファーができているでしょうか?先ほどお話しした「お客さまが喜ぶ企画」という観点から見直してみると、多くの課題が見えてきます。

もし会社案内や商品資料が、お客さまにとって本当に欲しくて今すぐ必要な価値ある情報であれば、たくさんの人にフォームを共有するだけでお問い合わせは増えていくはずです。もし反響がないとすれば、それは提供しているオファー(お客さまが喜ぶ企画)の価値を見直しなさいというサインかもしれません。

効果的なオファーとは、お客さまの「現状」と「理想」を線上に結びつけるものです。お客さまが「この資料を手に入れれば、自分の理想に一歩近づける」と直感的に感じられる情報でなければなりません。

そのためには、あなた自身がお客さまを導くガイド役として、現状から理想への道筋を明確に描けていることが大切です。商品やサービス、そしてホームページは、その道筋を実現するための道具に過ぎないことを忘れないでください。

最大の間違いは全体の「設計図」がないこと

ここで、最も重大な落とし穴についてお話しします。それは、「全体の設計図」を持たずにホームページマーケティングを始めてしまうことです。

よくある話ですが、多くの企業はいきなりホームページやランディングページの制作に取り掛かります。社内に担当者がいれば自社で、いなければ制作会社や知り合いのフリーランスのデザイナーに依頼するでしょう。

そして、サイトが完成すると、とりあえずブログを書いてみたり、とにかくSNSで共有してみたり…。しかし、思うような成果が上がらず、次第に更新も滞っていく。これは、多くの中小企業が陥る典型的なパターンです。

その結果、「ホームページはマーケティングの役に立たない」という誤った結論に至ってしまう人も少なくありません。しかし、本当の問題は別のところにあります。

それは、お客さまを導くための「全体の設計図」が描けていないことなのです。点と点が繋がっておらず、それぞれの施策が単発のアクションで終わってしまっている状態です。本来であれば、お客さまの現状から理想へと、川の流れのようにスムーズに課題の解決や理想の実現に向けて導いていく道筋が必要なのです。

ここで一つ、心に留めておいていただきたいことがあります。これは決してあなたの責任ではないということです。なぜなら、インターネット上で見つかる多くのマーケティングノウハウは、個別の施策やテクニックが多く、「お客さまを導く全体の設計図がわかっていないと迷子になりますよ」という人はほとんどいないからです。

では、この「全体の設計図」をどのように描いていけばよいのでしょうか?その具体的な方法について、次のセクションでお話ししていきましょう。

カスタマーステップとはなにか?

ホームページマーケティングにおいて、施策の点と点をつなぐ重要な概念があります。私たちはそれを「カスタマーステップ」と呼んでいます。これは、お客さまとの関係性を段階的に深めていく道筋のことです。

私たち企業側から見れば、新規顧客を獲得し、やがて大切な既存顧客へと育てていく過程です。一方、お客さまの視点に立てば、現状の課題を解決しながら理想の状態へと近づいていく旅路とも言えます。このカスタマーステップを軸に据えることで、バラバラだった施策がひとつの流れとなり、成長への道筋が明確になるのです。

安定売上のための5ステップワークフロー

カスタマーステップは、5つの段階で構成されるお客さまと私たちの成長のストーリーです。ここで大切なのは、単純な数字の追求ではありません。一人ひとりのお客さまとの関係をいかに深めていけるか、その本質にこそ価値があります。

では、その5つのステップを具体的に見ていきましょう。

  1. フォロワー
    まず最初に、あなたのSNSやホームページを見てくれる人、つまり「フォロワー」が必要です。彼らはまだあなたのことをよく知らないかもしれませんが、興味を持ってフォローしてくれた人たちです。フォロワーはじっとしていても増えないので、1週間に1回のペースでホームページの新着情報(お決まりの事務的なものでなくもっとあなたらしさがあるもの)を更新し、あなたのSNSでもシェアして価値提供を始めましょう。
  2. 購読者
    次に、フォロワーがもう一歩進んで、あなたのEメールニュースレターに登録してくれると「購読者」になります。ここで新しい人たちがあなたの世界に入ってきます。そして、直接連絡が取れるようになり、定期的にあなたの情報を届けられるようになります。ワクワク楽しみながらリスト構築をがんばって、フォロワーのメールアドレスを入手しましょう。
  3. 友人
    メールアドレスを入手したら、歓迎の気持ちを込めたウェルカムメールの設定をしましょう。あなたがどんな人か、何を期待できるか、そして有料商品もあることを知らせてあげます。その後、忘れられないように、週に1回はEメールニュースレターを送りましょう。定期的なホームページ新着情報やEメールニュースレター、SNSタイムライン投稿を通じて、購読者との信頼関係が深まり、彼らはあなたのことを「友人」のように感じ始めます。あなたのメッセージや価値観に共感し、応援してくれるようになるステップです。
  4. お客さま
    Eメールニュースレターのメーリングリストに登録してくれた人たちは、もう友人みたいなもの。だから、彼らの悩みをインタビューしたり、あなたの商品アイデアに興味があるかどうか、気軽に聞いてみましょう。その関係構築の結果、友人のように感じてくれた人が、ついにあなたの商品やサービスを購入し、「お客さま」になります。ここではじめて、あなたと取引を始めることになります。
  5. クライアント
    最後は、一度だけの購入ではなく、定期的にあなたのサービスや商品を利用する「クライアント」になってくれるステップです。初めての取引では、しっかりと約束を守り、価格以上の価値を提供しましょう。そうすれば彼らにとって、あなたのサービスや商品はもはやなくてはならない存在です。あなたのファンとなり、長期的に互いのビジネスをサポートし合う仲間となります。

ここで重要なポイントをお伝えします。すべての出発点となるのは、正確なペルソナ設定です。間違ったペルソナは、すべての段階で歪みを生じさせ、最終的に継続的な関係構築を妨げてしまいます。間違って引き寄せてしまったお客さまは、決して長くお付き合いできるクライアントにはなりません。

そして、新規顧客の獲得コストは、既存客の維持コストの5倍以上かかることを覚えておきましょう。つまり、あなたの会社の収益はクライアントからもたらされるものです。

このため、とにかく新規顧客を集めればなんとかなるというような点的な考え方は避けるべきです。理想のクライアントになっていただくまでの通過点として新規のお客さまづくりがあり、そのための重要な要素としてメールリストの構築があるのです。

もっとも大切なことは、すべてが線で結ばれた一貫性のある仕組みになっていることです。再現性のある仕組みづくりこそカスタマーステップの意図するところです。

まとめ:

ここまで、ホームページで見込み客リストを集めるには、ホームページやランディングページの作り方よりも、お客さまを導くためのマーケティング全体の設計図が大切ですよ?ということをお伝えしてきました。

次回は、購買につながるメールリストの集め方について、具体的な実践手順を詳しく説明しますのでお楽しみに。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

また来週お会いしましょう。

無料会員登録:
マーケティングの習慣化に役立つ各種テンプレートなど会員限定コンテンツにアクセスできます。

今すぐダウンロード

関連記事